夏の暑さもやわらぎ、朝晩はすっかり涼しくなってきました。
いよいよ、実りの秋の到来です。
道端を歩いているとどこからか届く、「キンモクセイ」の香り。
この香りは、どこか懐かしさを感じさせてくれるような気がします。
キンモクセイの香りが漂う季節になると、「すっかり秋だなぁ」と感じますよね。
キンモクセイは、モクセイ科モクセイ属の、常緑性の小高木樹です。
日本では観賞用として公園や庭先でよく栽培されています。原産地の中国では、「丹桂(たんけい)」や「桂花(けいか)」という別名で知られており、キンモクセイの花びらは観賞用以外にも、お茶やお酒(白ワイン)、お菓子、漢方薬など、食用や薬用の植物としても親しまれています。
散歩の途中で大きなキンモクセイの木を見つけた山田さん。
分厚い葉っぱをちぎると「ブチッ!」と大きな音がしました。
この音に合わせるように「キンモクセイ!」と口ずさみます。
その一連の作業が、どんどん楽しくなっていった山田さん。
キンモクセイを、バケツにたくさん集めてくれました。
工房に届いたキンモクセイは、きれいな染液が出るように、葉と枝に仕分けます。
枝から葉をちぎる人、そのちぎった葉をさらに細かくする人…。
一人ひとりの得意分野を生かして、仕分けや葉をちぎる作業を進めていきます。
この繊細な作業のおかげで、曇りのない綺麗な染液ができあがるのです。
ちぎった葉を煮出し、キンモクセイの染液を作りました。
この液にシルクストールを入れて、ゆっくり、じっくり、丁寧に染めていきます。
優しい色の染液で、何度も色を重ねたことで、植物由来の色の深みや、あたたかさを感じるストールに仕上がりました。
キンモクセイからたできたストールと一緒に、穏やかな秋の日を過ごしてみてはいかがでしょうか?
(文/かしはら)
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