4月。
だんだん暖かくなってくると、百々染工房の近くに鮮やかな真紅の花が咲き始めます。
この花は、ストロベリーキャンドル。
可愛らしい名前は、「イチゴのような赤い花をロウソクを灯すように咲かせる」という姿からきています。
さらに、このストロベリーキャンドルには「クリムソンクローバー」という別名があります。
クローバーという言葉から連想できるように、葉っぱは三つ葉の形をしています。
そんな花も葉っぱも可愛らしい、ストロベリーキャンドル。
今回、百々染工房ではこの花を使って染めていきます。
ストロベリーキャンドルの、赤くキャンドルを灯したように見える部分は、小さな花がたくさん集まって咲いています。
触ってみると柔らかくて、少しチクチクするような独特の感触です。
そんな花をプチっとちぎるときの、フワフワでくすぐったい手触りが心地良くて、工房の仲間は皆、花ばかりを細かくたくさんちぎっているようです。
赤色が気に入って、目の前を花でいっぱいにしようと集める人。
花よりも、かわいらしい三つ葉をたくさんちぎって並べようとする人。
ストロベリーキャンドルの持つ魅力を、皆それぞれに楽しみながら、ちぎっていきます。
そうして細かくした花や葉っぱ、茎を煮出して染液にすると、鮮やかな深紅の花からは想像できない透き通った黄色の染液になりました。
澄んだ優しい黄色の染液で、少しずつ色を重ねていくと、目の覚めるような、とびっきり明るい黄色のストールに仕上がりました。
雨が降る日が続き、少しどんよりとする梅雨の時季、パッと気持ちを明るくしてくれるストールを身に着けて、ぜひお出かけしてみませんか。
(文/いけど)
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